どんぶり勘定的映像快楽。『デジャヴ』

あなたは心にどんぶりを持っているだろうか?プロデューサーにジェリー・ブラッカイマーさん、監督はトニー・スコットさんとなれば、映像がワシャワシャの爆発ドッカンの車がドッカンなわけです。主演はデンゼル・ワシントンさん、顔の筋肉のなかで口角が大忙し、への字口になったりニカッと笑顔になったり。共演はヴァル・キルマー親方、なぜ親方なのかはご覧になればわかります、「どすこい」と登場。ポーラ・パットンさんはいきなりとんでもない目にあって、その後もとんでもない目にあい続けます。ひげを蓄えたアダム・ゴールドバーグさんは、顔が一層狭く感じられ、目が一層大きく感じられ。エルデン・ヘンソンさんはポストフィリップ・シーモア・ホフマンとの呼び声が高いのかどうかは知らない。物語は、アメリカのニューオリンズでフェリーが爆発し、多数の死傷者を出すところから始まります。と、この映画『デジャヴ』について言えるのはここまでなんですよ。プロデューサー、監督、キャスト、どれかに少しでも引っかかったらご覧下さいよ。中盤で明かされる驚愕の展開を心のどんぶり勘定で乗り切れば、おそらく今までに無い映像体験ができるはず。なぜ今まで無かったかというと、無茶だから。「デジャヴ」という言葉から、心理サスペンス的なものを予想していた私は、物語が大きく動き出すと度肝を抜かれ、クライマックスでは尻小玉を抜かれました。スクリーンでの出来事に思わず声をあげ、それに驚いて自分で自分の口を押さえたなんてどれだけぶりか。無茶を受け入れよう、心のどんぶりを大きく持ってさあ劇場へ。