絶妙のバランス感覚……だったね原作は。『となり町戦争』
- 作者: 三崎亜記
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/12/20
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原作を読んだときは、淡々と進む中に時折公文書がインサートされてじっとり汗ばむ、そしてまた淡々と進む、読了後コリャすげえぞと。いま書店では単行本と文庫本が並んで置いてありますね、最近出た文庫本は書き下ろしの短編が収録されているようです。これ映画化のキャストが発表されたとき、主役の北原が江口洋介さんと聞いてコリャ違うだろと、香西が原田知世さんというのはまあアリかしら。それで公開されたはいいものの、近所に来なかったのでしばらくは観れないからシナリオを先に読んでみたら、北原のキャラクターが感情的で行動的になっていて、江口洋介さんのイメージに近くてなかなか良くて、エンディングもうまくまとめてあったので期待をふくらませて観たわけです。んが、んがしかし、この北原のキャラクターを変えたことでバランスが狂ってしまった。淡々さを失ってしまった。シナリオからは読み取れなかったコミカル色が、ことごとく外れたように思えました。辞令交付式の音とかどうなの。この場合、はた目から見たらおかしなことをまじめにやるから面白くなるパターンですよね、コミカルな演技そのものをさせてしまうってのは違うでしょう。唯一、岩松了さんはわかってらっしゃって、粘っこく気持ち悪い役を普通のトーンでやってらしたので、面白くもあり、終盤ブルブル状態に持って行けちゃうわけです。瑛太さんは、美味しい役だったですね。江口洋介さん、原田知世さん、岩松了さんという中心のキャラクターは良かったので、原作ファンとしては残念、惜しい、悔しいなあ。どこかで連ドラにしてじっくりやってくれないかしら。