観たら死ぬる。『パビリオン山椒魚』

BRUTUS (ブルータス) 2007年 5/1号 [雑誌]

BRUTUS (ブルータス) 2007年 5/1号 [雑誌]

いよいよはじまった『帰ってきた時効警察』。新シリーズ冒頭は麻生久美子さんによるオダギリジョーさんとの妄想でした。警察を辞め北国の小さな町で小料理屋を一人営む麻生久美子さん。しんしんと雪降る中店じまいをしていると、傷ついたオダギリジョーさんが転がり込んで「三日月くん、しばらくかくまってくれないか」となる。ドラマはここで現実に戻るのですが、あなたがしたようにちょっと妄想の続きをしてみると、シャツを脱いで傷の手当てするけれど、その見かけによらずたくましい肉体に呼吸が荒くなる。いけない今はそんなこと考えちゃいけない、そんなこと考えてると悟られたくない……でも……。というふうに火照られたことと思います。この冒頭が秀逸なのは、妄想の続きをうまくバトンタッチできるように素材を提示していることです、つまり多くを語らない。そんななか昨年劇場公開された『パビリオン山椒魚』の DVD が発売されるわけですが、オダギリジョーさんファンのあなたは観てはいけない、観たら死ぬる。映画やドラマで共演した男女に恋の噂が立つのは、広告の場合もあれば実際に結婚まで行っちゃうときもあったりして珍しいことじゃなくて、この場合も出ました。実際はどうだか知らないすけど、さもありなん。この映画、内容はどうにもこうにで、ある金持ちの飼っている山椒魚が偽物らしい、もし本物ならば過去に骨折しているので、こっそり持ち出してレントゲンを撮って調べて欲しい。というのがはじまりで、このレントゲン技師にオダギリジョーさん、金持ちのお嬢さんに香椎由宇さん。でまあいろいろあってある夜レントゲン車(バスみたいなやつね)であたしのレントゲンも撮ってよとなり、何枚も撮るのですが、このときレントゲン室からオダギリジョーさんを見つめる香椎由宇さんの視線がえらいことになっていて、眼球の動きがいやらしすぎて完全にオダギリジョーさんしか見えていない。この流れで二人は(あくまで映画のストーリー上ね)ペロペロする仲になるのです。火のないところに煙は立たないというけれど、私がゴシップ記者ならば、このシーンだけで二人の熱愛報道は完全にでっちあげられちゃう。それぐらいガチンコなので、オダギリジョーさんだけを目当てに何の気なしにこの作品を観ると、妄想の”のりしろ”を失ってしまうので注意だ。いまは『帰ってきた時効警察』を毎週やっているし、映画が二本も公開されているので無理していま観る必要はありません。妄想のネタがどうにも無くなってしまったときに最後の手段として観ることをお薦めします。そんでいま書店にある『BRUTUS (ブルータス) 』2007年 5月1日号の表紙を見たかね。まだ二十歳だよ、二十歳でこれですからね。いまは美貌に演技力が完全に負けてますから、これがいいバランスになるのは四十代かしら?やっぱし世の中平等にはできてないわね。