許容量を越えて、年を越えて。『クレイジーケンズ マイ・スタンダード』横山剣

クレイジーケンズ マイ・スタンダード

クレイジーケンズ マイ・スタンダード

SOUL電波

SOUL電波

「ねぇ最近クレイジーケンバンドのこと書いてないじゃない、ファンやめたの?」なんて聞かれたのでこう返してやったんだ「なに言ってんだい、あたしファンだよ、逆に好きが高まってるくらいだこのバカ」余計な一言がまずかった、ケンカしちゃった。いままでにないくらいの険悪なムードになったけど、なんとか仲直りしました。それでケンカのあとの……オトナならわかるよな?あれは燃えたぜ。と、エロスをまぶしたエントリのはじまり、今日はそんな日。例えば日程が限られている週刊誌とか、映画とか、そういったもので自分がピンと来たものはなるべくはやくエントリするようにしてます。けっこう鮮度大事。でも CD や書籍はひと通り読み聴きしてからエントリします、そういう必要アリと思うんす。じゃあ2007年8月に発売された『 SOUL 電波』のことなぜ書きゃしないのか?それはまだ聴けていないからなの。クレイジーケンバンドの新曲を聴くのは、まず車でってのがありまして、こういう人はけっこういらっしゃると思います。特に夜に鳴らすと、車窓からの風景に艶が出るんですよね。『 SOUL 電波』ももちろん車の中で聴きはじめたのですが、これが良すぎる。イントロがあっての2曲目『プレイボーイ革命』が良すぎてそこから先に進まないのです。菅原愛子さんがコーラスで入って来たあたりでいつもストップしてしまう、良すぎて耐えられない、許容量を越えてしまうんです。そんでまだエントリしてません。でも2007年12月に発売されたばかりの横山剣さんの自叙伝『クレイジーケンズ マイ・スタンダード』は半分も読んでないけどエントリするぜ。なぜなら年末年始に読んで欲しいの、ブ厚い(500ページ以上!)からね。多少時系列は前後しますけど、幼少の頃から綴られておりまして現在高校のあたり。かなり複雑な家庭事情で、出来ることならその頃の横山剣少年を抱きしめてあげたいのですが、おやおやちょっと待てとなりました。

「小5、不良クラブ活動」(P154)

おれは「不良クラブ」という名前の子供プレイボーイ・クラブを小5の時に結成した。
(中略)
女のコって、大義名分さえあれば、真面目な子ほど大胆になるということがそのときわかって、勉強になった。
不良クラブという概念を読み解かれると、女のコはみんなその気になっちゃって、簡単にチューとかさせてくれる。いつもはスカートをめくったくらいで怒るような子が、トローンとした眼をしてさ。
小学校5、6年生になると胸もふくらんでくるから、膝の上に乗っけてモミモミしちゃって、もうハーレム状態よ。

『クレイジーケンズ マイ・スタンダード』(P154)より引用

うおおおーい!前言撤回、けしからん横山剣少年をお尻ペンペンしに行きたい!……んですけど、なんという小5、参りました。あたしのいままでの人生におけるエロスを、小5時点の横山剣さんは確実に越えとるよ、重ね重ね参りました。これも複雑な家庭環境にあった横山剣少年が、自立していく中での大事なエピソードで、出会う人物、出会う音楽、出会う街、これらが今の横山剣さんを作り上げているんだなあと読んでおります。横山剣さんの個人史であるのはもちろんのこと、横浜・横須賀・東京の風俗史としても貴重な記録で、空気までも見えてくる。あの芸能人が多数通っている堀越学園に入学するに至るエピソードなんて、そのセルフプロデュース能力に関心しちゃいました。ただ単に「芸能人に会える」とかじゃ全然ないからね。というわけで、横山剣さんを作り上げてきたもの、その感受性の強さ、好奇心の強さ、受け皿の大きさ、軽犯罪の多さに震えつつ、年越しはこれで決まりだで。