『プラダを着た悪魔』

アン・ハサウェイさんが大学を出ましてジャーナリストを目指しニューヨークへ。『 RUN WAY 』なる一流ファッション誌編集部へ就職、編集長のアシスタントとして入り込みますが、ファッションには関心が無いの。『 RUN WAY 』をたいして読んだことも無いっぽいですよ、なぜ?まあ雇う方は有能なアシスタントが必要だってことで、アシスタントチーフのエミリー・ブラントさんについてこき使われます。そして『 RUN WAY 』誌の編集長を演じるのがメリル・ストリープさん。これがまたおっかなくてね、厳しい、しかし真っ当だから真っ当に仕事をしないと認めてくれないんだよ、そういうもんだ。そんで毎日こき使われながら、ファッションに磨きがかかりながら、作家にちょっかい出されながら(この作家サイモン・ベイカーさんがやらしい体してんだ)、成長していきますよ。そんな話。このアン・ハサウェイさんて、映画の冒頭ではメイクも服装もファッション誌で働くには厳しい感じ。それがある日を境に”パッ”と垢抜けるんですよ、ですけど、特にそうは見えなかったなあ。私の中でアン・ハサウェイさんのイメージって”ボテッ”としてるんです、ぼた餅みたいなね。それが職場の仲間も驚くくらい変わってるってなるんですけど、装飾過多にしか見えなかったな。ぼた餅をシュー生地で包んで生クリームだっぷりな感じ。まあ、そのあとすっかり毒気の抜けた素敵な状態になるので、大きく外れてはいないと思いますけどね。アン・ハサウェイさんって太ってるのが似合うと思うし、自然だと思いますよ、体格的にもそう見えませんか?まあでもこの映画は編集長役のメリル・ストリープさんのもんだからね、髪の毛一本に至るまで神経を張り詰めた名物編集長を嬉々として演じてますよ。しくじったアン・ハサウェイさんを叱り飛ばすでなく、無理難題を言いつけて「これが出来なきゃ戻ってこなくていいから」なんてんですよ、どうしよう。で、アン・ハサウェイさんはどうにかしちゃうんだから笑った、でもこれがパリでのペロペロにつながるんだから、あいつはその上を行くぜ。あとニューヨークって目的意識が強くないと潰されちゃうみたいな話を聞いたりしますけど、仲間から「仕事、仕事、あなたは変わってしまった」みたいなことを言われたりするのね、成り上がり上等じゃないのかしら。そんな仲間の一人、芸術方面に明るいポッチャリのリッチ・ソマーさん、ものすごく親に愛された感じがする福々しさを漂わせますね、私はこっそり「溺愛」というニックネームをつけてしまいました。映画は押切もえさんが宣伝に一役買って、日本版のポスターで素敵なおみ足を披露されていましたので、ファッション方面にけっこうアピールしていたと思いますし、実際アン・ハサウェイさんは何ポーズあるのかしら、とっかえひっかえなので、そういう素養のある方は存分に楽しめると思いますよ。私はそっちからっきしなので、二つ三つしか「おおお」となりませんでしたけども。ハンチングをななめにかぶる小林少年(知らないけど)みたいなやつは良かったね。しかしあれですな米国映画では携帯電話をデコレーションしませんね、着メロなんてありゃしない、その点は日本が先に進んで……んのかしら?そして禿頭に丸メガネという両刀ひっさげてスタンリー・トゥッチさんがファッションディレクター役で登場しているので、素敵。後半の展開はけっこうグサグサ来ました、厳しいけど仕方ねえかな。