沈没するその前に。『 KING 』 2007年4月号 「直タンのカレー漫遊記」 Vol.6(最終回)

春、それは出会いと別れの季節……。そんな中、すっかり創刊当時の汗臭さを失った『 KING 』の新しいのが出たぜ。表紙が成海璃子さんで、大きいお友達のご機嫌をうかがいます。中身は電化製品カタログはあるわ、占いがあるわと節操なしもここまでとは。極めつけは「キング文章王」受賞作品なし。まあ募集する側の雑誌がこうコロコロ体裁を変えちゃあ、選ばれた人が逆に可哀想かもしれないね。これ選者総評(P140)ってのがありまして、選者各人がコメントを寄せているんですけど、その前のページはみんな集まって座っている写真があるんですよね。文学賞とかって、選者による合評が面白いのに、これをしないとはどういうことだろうか。また各人のコメントも個別に作品の内容に触れた人は誰もおらず、ボンヤリとしたコメントをボンヤリ掲載。”実は読んでないメーター”がグングンだ。そんなことはいい、そんなことはいいんだよ。『 KING 』といったら読むべきページはここしかないだろう?「直タンのカレー漫遊記」(P126)だ。しかしいきなりの書き出しが”最終回を飾るのは〜”だからひっくり返る。え!?じゃあ『 KING 』も終わるのかと次号予告を見ると来月も出るみたいだし、性懲りも無く先月に続いての女の子ちゃん特集をすると言ってる。そうかネズミは沈没する船からいち早く脱出すると言うしね、そのあたりはさすが子年の徳澤直子さん。するどい嗅覚で脱出成功。そんな最終回は六本木のなんとかいう店でモティスペシャルタリーなる3000円オーバーのカレーを食べてます。今回はちゃんと店内でカレーとのツーショットを実現、しかもナンをベローンと持ち、ペロリ舌出しというサービスぶりで巷に蔓延した「徳澤直子さんとカレーの不仲説」を一蹴。そして最終回にもかかわらずコメントの最後を「本場の味で大満足です。ナマステ〜」としめています。別れの挨拶ではなく、出会いの挨拶を持ってくるところで泣いた。なんという優しさか。なんという人柄か。徳澤直子さんとカレー、目の付け所は素晴らしかったのですが、残念ながら今月号で連載は終わりです。これにめげず、こっち方面での展開もあきらめずに続けていただきたいところであります。