臼田あさ美さんのほうが……『色即ぜねれいしょん』

色即ぜねれいしょん (光文社文庫)

色即ぜねれいしょん (光文社文庫)

題名:『色即ぜねれいしょん

製作会社:キリシマ1945

配給会社:スタイルジャム

監督:田口トモロヲ

脚本:向井康介

音楽:大友良英

出演:渡辺大知 臼田あさ美 峯田和伸 岸田繁 森田直幸 森岡龍 リリー・フランキー 堀ちえみ 塩見三省 石橋杏奈 山本浩司 古川雄弥 安藤サクラ

上映時間:114分

日本公開:2009年8月15日(土)

公式サイト:【http://shikisoku.jp/indexp.html

IMDb:【Shikisoku zenereishon (2009) - IMDb

臼田あさ美さんが出演することを知ってから原作を読んだのですが、ヒロインのオリーブと臼田あさ美さんのイメージが重ならず、ややモヤモヤしたなかでの映画鑑賞となりました。みうらじゅんさんの自伝的小説が原作で、いままで断片的に知っていた”通信空手”や”ボブ・ディラン”なんかが出てきて、やや駄目な高校生のひと夏が描かれています。主人公の乾純(いぬいじゅん)を演じるのは渡辺大知さんで、伊部役の森田直幸さんと池山役の森岡龍さんとともに隠岐島に行きます。原作がそうなので仕方がないのですが、この三人の名前が「い」でしょ、これ嘘こいてもよかったですよね。映画で人の名前なんて基本耳からしか入ってこないものですから、いぬい(イヌ、じゅん)、いけやま、いべってね、ちょっと困りました。渡辺大知さんは黒猫チェルシーというバンドやってる人で、演技の経験は無いみたいですけど、ちょっとしたつぶやきとか上手いですよね、なにより原作者のみうらじゅんさんにかなり似てますよね口元とか。あと家庭教師役の岸田繁さんが、おどろくほど自然な演技で、塩見三省さんや山本浩司さんは当然のごとく見事なバイプレイヤーですから、臼田あさ美さんの演技のまずさが目立ちすぎて悶絶。それを補って余りある見た目のアドバンテージがあるからよかったよ。スクリーンで顔のドアップやら、重要部位のドアップがあるのでプラマイで言うと大きくプラスだからよかったよ。1970年代のカワユイ娘にしてはカワユすぎるし、唇のヌラヌラもあんなメイクないだろうとは思うけど総じてよかったよ。実際は安藤サクラさんくらい(いい意味で)のハスッパな感じがジャストセブンティじゃねえすか。臼田あさ美さん演じるオリーブは、渡辺大知さんより年上の女子大生で、ノーブラの透け白ビキニでいわゆる性巧者の役なんですけど、そうは見えんわな。何回か渡辺大知さんに抱きつくところがあるんですけど、臼田あさ美さんから抱きついておいて、あの腰の引けかたはなんだろうか。おかしな言い方になりますが、渡辺大知さんより臼田あさ美さんがよっぽど童貞感が強かったですよ。渡辺大知さんの部屋を訪れる場面は「笑って」「泣いて」をもうひとがんばりして欲しかったです。しかし臼田あさ美さんには演技を続けていってもらいたい、主演作も控えているようですけども、やはり続けることは大事ですよね。井川遥さんなんて、ドラマに出はじめたころは地獄のような演技力でしたけど『ディア・ドクター』は見事でした。臼田あさ美さんは出演作を選ぶセンスは抜群ですので、地道に演技を続けていただきたいものです。そのほかの出演者ではユースホステルヒゲゴジラ役の峯田和伸さんは、一歩引いて見守る兄貴的存在なのですが、ダイブするシーンは前のめりの野獣ダイブで、いいもの見たぜ。森田直幸さんは登場シーンこそカワユイ高校生ちゃんなのですが、パンチパーマかけたあたりからグングン魅力的になり、海パン姿は若軍鶏のようで、こりゃいい鉄砲玉が出てきたなあと思いました。溺愛お母さん役の堀ちえみさんは、子だくさんフェロモンとでも言いましょうか、いろんな意味で現役を感じました。中学時代の同級生、石橋杏奈さんはぽってりしていいですね。後半に渡辺大知さんと電話で話す場面の構図は観音像のそれでしたね。ヤンキーの古川雄弥さんは、なで肩にソフトリーゼントが似合ってました、京都弁がカワユイ。1970年代の話ではありますが、手洗いの石鹸がフツーにポンプ式のボトルだったりして、時代のディティールにそれほどこだわったわけでは無さそう。性や自己というティーンの普遍的な思いを描いているので、いままさにティーンやかつてそうだった人たちが観てくれるといいなあ。そんで臼田あさ美さんの全方位オーケーのフォトジェニックさを堪能していただき、演技のアレな部分はこらえていただきたいと思います。